内容検索メモリを用いた検索システムの速度性能の評価

橋爪 正樹,山本 博資,為貞 建臣,埴渕 敏明 

電子情報通信学会論文誌(情報・システム : D), Vol. J70-D, No.9, pp.1709-1717, Sep.1987.

  • 半導体製造技術の発展により,従来に比べ安価に大容量CAMを作成する技術的基盤ができている.しかし,我々が検索対象とするデータ量は急激に増加しており,すべての検索データをCAM内に格納しておくことはコストの点から非現実的である.従って,CAM内にすべての検索データを格納せず,検索データを別の記憶装置にブロック分割して格納しておき,各ブロックを順次CAMに転送し,検索する利用方法が実用的である.このような利用形態では,データの転送ネックや処理のオーバヘッドが生じ,どの程度の検索速度が得られるかが明確でない.そこで本論文では,CAMへのデータ転送を含めたCAMを用いた検索システムのモデリングを行い,検索時間を求め,速度性能を評価した.その結果,(1)CAMを用いた検索システムで高速性を得るには,CAM自身の検索を高速化するより,データを高速に取り出すことやバス容量を増加させることなどによりデータ転送時間を減少させる方がより効果的であること,(2)検索データ量により高速検索のための最適なCAMの容量および形状が存在すること,(3)CAMを用いるとCAMにデータを転送するための制御機構が必要となるが,その制御機構の速度によるシステム全体への影響は少ないことなどが明らかになった.
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