(k,L,n) しきい値秘密分散システム

山本 博資,

電子通信学会論文誌(基礎・境界 : A), Vol. J68-A, No.9, pp.945-952, Sep.1985 (in Japanese)

  • $(k,n)$ しきい値法では,情報 $X$ が $n$ 個の部分情報に分割符号化され,その $n$ 個から任意の $k$ 個の部分情報が得られれば,元の情報 $X$ が完全に復元できるが,任意の $k-1$ 個の部分情報では$X$ に関して全く情報が得られない.このように,$(k,n)$ しきい値法は情報を分散保管または分散伝送するのに適しているものの,各部分情報が元の情報 $X$ と同じビット長を必要とし,符号化効率から考えると非常に効率が悪くなっている.本論文では,$(k,n)$ しきい値法を拡張し,任意の$k$ 個の部分情報からは元の情報が完全に復元できるが,任意の $k-L$個では全く $X$ の情報が得られず,任意の $k-t$個 $(1\leq t\leq L-1)$ の部分情報では情報 $X$ について $(t/L)H(X)$のあいまいさが残るような秘密保護特性を持つ$(k,L,n)$しきい値法を提案する.$(k,L,n)$しきい値法では,各部分情報のビット長は情報 $X$の $1/L$ でよく,非常に効率のよい符号化が行える.本論文では,$(k,L,n)$しきい値法を実現する$(k,L,n)$符号の構成法を示すと共に,その特性を明らかにする.
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